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なぜあれほど流行ったThe Modelが廃れてるのか

一時期、「The Model」という言葉を聞かない日はないほどでした。
マーケ → インサイドセールス → フィールドセールス → カスタマーサクセスと、
役割を分業してファネルを最適化する営業モデル。

しかしここ数年、
「うちもThe Modelを真似してみたけど、正直うまくいかなかった」
という声を、多くの企業から聞くようになりました。

The Modelが間違っているのでしょうか?
答えは NO です。ただし── そのまま真似するには“前提条件”が多すぎる のです。

The Modelは「Salesforceクラスの企業」の発明品

The Modelはもともと、Salesforce のような

  • 巨大なリードボリューム
  • グローバルに標準化されたプロダクト
  • データドリブンな文化
  • 専任のマーケ・インサイド・フィールド・CSのチーム

といった前提が揃った環境で磨かれてきたモデルです。

一方で、多くの中小企業では、

  • マーケ専任がいない、もしくは1〜2名
  • インサイドセールスとフィールドが兼任
  • 顧客データは名刺とスプレッドシートに点在
  • プロダクトもターゲットもまだ試行錯誤中

という状況が一般的です。

この状態で、The Modelの「形」だけを真似すると、

  • 役割だけ増えて、1人あたりの生産性が逆に落ちる
  • 部門間の“壁”だけができて、情報が分断される
  • KPIが複雑になりすぎて、誰も全体像を追えなくなる

という悲しい結果になりがちです。

そもそも、どの筋肉が足りないのかを見ていない

The Modelは、営業組織の“理想的な筋肉の付き方”の一例です。
でも、多くの企業では 「今、自社はどの筋肉が足りていて、どこが弱いのか」 を見ないまま、いきなりフルマラソン用のトレーニングメニューを始めてしまいます。

たとえば、こんなパターンです。

  • リード筋が足りていないのに、インサイドセールス部隊だけ作る
    そもそもリードが少ないのに、「架電数」「架電時間」だけがKPIとして追われ、疲弊する。
  • 案件化率の課題を、“部門増設”で解決しようとする
    提案の質・ヒアリング力・ポジショニングといった根本課題を棚上げしたまま、役割を分けてみても数字は良くならない。
  • データの筋肉が弱いのに、The Modelレベルのダッシュボードを求める
    SFAの入力ルールもままならないのに、精緻なファネル管理をしようとして挫折する。

大切なのは、The Modelを“型”として崇拝することではなく、
自社の現状とギャップを冷静に見極めること です。

The Modelを捨てるのではなく、「自社版The Model」に翻訳する

では、The Modelはもう古くて使えない考え方なのでしょうか?
そうではありません。

有効なのは、次のようなアプローチです。

  1. 現状の案件の流れを、まずはそのまま可視化する
    きれいな図にしようとせず、「今どう回っているか」を事実ベースで書き出す。
  2. ボトルネックを特定する
    リード不足なのか、初回商談での離脱が多いのか、提案フェーズで止まりがちなのか、クロージングが弱いのか。
  3. 足りない“ファンクション”を、一つずつ強化する
    いきなり組織を分割するのではなく、
    • インサイド的な役割を1名が兼任して試す
    • マーケと営業の定例ミーティングを設ける
    • 1つの業界に特化したチームを作るといった
      スモールステップで筋肉を鍛える
  4. シンプルな自社版The Modelから始める
    たとえば、
    • 「マーケ+インサイド」
    • 「フィールド+CS」
      のように大枠だけ分け、KPIも最小限で設計し、徐々に細かくしていく。

The Modelは“完成品”ではなく、
自社の営業プロセスを見直すためのレンズ として使うべきものです。

フレームワークではなく、「現場にフィットする仕組み」を

The Modelが廃れているのではなく、
「The Modelをそのまま真似すればなんとかなる」という考え方が廃れている のだと思います。

Lucernaは、フレームワークの輸入ではなく、
各社の現場・商材・顧客との関係性にフィットした、“自社版の仕組み”づくりを支援したいと考えています。

  • うちの営業組織に、The Modelはどこまで取り入れて良いのか
  • 今足りない筋肉はどこで、どこから鍛えるべきなのか

そんな問いに向き合うことから、
本当に意味のある営業の仕組みづくりが始まります。